下の上か上の下か、それが問題だ

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141224-Shiomi-05.jpg2014年、アウディには結構乗りました。乗りましたといっても、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを走りこんだとか、ルマン24時間レースに出たとかではなく......
中古ですけどR8を買ったんです、V8のほうですけどね......とかでもなく、自動車サイトの「carview!」が開催するアウディトークショーに参加させていただき、その際、参加されたお客さまを乗せ、札幌や博多の街をぐるぐる回るという機会があったんです。これはホント。

現場にはA6以上のアッパー系アウディが多数用意されていました。年の瀬に振り返ってみて、最も印象に残っているのはA8です。フラッグシップのA8ですからよく出来ているのは当然といえば当然なんですが、僕が気に入ったのは、ベーシックな3.0 TFSI quatttroなんですよね。ベーシックといってもA8ですから1048万円しますけど。

ちなみに下の写真はアウディトークショーで撮ったもの。トーク&お客さんとのドライブに忙しくA8の写真を撮ることができなかったので、ランチの後に出てきたデザートの写真で勘弁してください。

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ここで脱線していいですか? 返事を待たず脱線しますね。クルマ選びって、二者択一で迷う要素がいくつもありますよね。例えば、小排気量の過給機付きエンジンにするか大排気量の自然吸気エンジンにするか、ある程度のユーテリティーが必要だとして、ステーションワゴンにするかSUVにするか、予算が決まっているとして、その範囲内で買える新車にするか中古車にして車格を上げるか。また、同じく予算が決まっているシリーズで、下のモデルのトップグレードにするか上級モデルのベースグレードにするかというのも、迷う要素の典型例じゃないでしょうか?

1048万円のA8は、S6(1214万円)やS7 Sportback(1259万円)よりも安く手に入るわけです。こういう場合、もちろんケース・バイ・ケースだと思いますが、傾向としてはあなたはどっち派ですか? 上のモデルの下のグレードに魅力を感じるか、それとも下のモデルの上のグレードに魅力を感じるか。

メルセデス・ベンツC250スポーツが640万円で、素のE250が599万円。BMW328i Mスポーツが646万円で、素の523iが633万円。こういうケースで、あなたはどちらに魅力を感じますか?

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僕の場合、かつては上のモデルの下のグレードを選ぶのはなんだか見栄っ張りで無理しちゃってるという印象を抱いていました。たまにいますが、E250を買って「E250」のバッジを外すのは恥ずかしい行為と認定していました。逆に下のモデルの上のグレードを選ぶという行為は、なにかこうストイックで賢いイメージでした。C250なのに「C250」のバッジをあえて外すという行為は狼に羊の皮を被せるような感じがして、格好いい行為と認定していました。

......と書きましたが、自分に正直になってみると、そういう自分でありたいだけで、実際には下のモデルの上のグレードを選ぶよりも、下のグレードであろうと上のモデルを選ぶほうがお得じゃんと考えていました。

じゃ最近ではどう考えているかというと、C250スポーツだろうとE250だろうと、また328i Mスポーツだろうと523iだろうと、新車で買う機会はないという人生のおおよその道筋が見えてきたのでどっちでもいいです。どっちでもいいのですが、自分のことではなく仕事上の思考として、上のモデルの下のグレードを選ぶという行為はそんなに卑屈なことではなく、なかなかいい選択なんじゃないかと思うようになってきました。

理由はいくつかあって、まず歳をとるに連れて"速さ"に対する希望が薄れてくるのがひとつ。速さを求めるならば、"上のグレード"というのは"ハイパワーエンジンが載っている"ということとほぼイコールですから、下のモデルの上のグレードのほうが有利です。一生懸命ゴルフをやるようになって、ラゲッジスペースの左右幅に対する要求が高まってきたというのがふたつ目の理由。先日A6、A7スポーツバック、A8のトランクにキャディバッグを入れてみるテストをしましたが、A8は広かったです。

3つ目の理由は、A8 3.0 TFSI quatttroに使われるのは、1706万円のS8や2145万円のA8ロングW12 quatttroにも使われる骨格なので、やはり造り込みがよいということ。A8に乗って数百メートルも走らせると、S6やS7では味わえないいいモノ感が漂います。造り込みという抽象的な表現になってしまうのが歯がゆいのですが、そうとしか言いようがありません。

ここで華麗に話を戻しますが、A8 3.0 TFSI quatttroは、アウディにこれ以上はないんだといういいモノ感を味わわせてくれるわりにはお買い得という意味で、すごく気に入りました。3リッターV6スーパーチャージャー・エンジンはスムーズで、十分なパワーを発揮し、アルミを多用しながら1930kgあるボディを造作もなく活発に動かします。居住空間、荷室空間ともに十二分に広く、装備も文句ありません。よっぽど速いA8がほしいというのでなければ3.0 TFSI quatttroで十分なのではないでしょうか。

というわけで、塩見の今年のアウディこの一台は、A8 3.0 TFSI quatttroとさせていただきます。

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(Text by Satoshi Shiomi)

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Author:塩見智

ライター/エディター。1972年岡山県生まれ。新聞記者、自動車雑誌編集者を経てフリーランスへ。クルマは速くなくてもいい、豪華じゃなくてもいい、(乗ってて)モテなくてもいい、ただし作り手自らが掲げた目的を、高いレベルで達成していてほしい。何がしたいのかわからないクルマが一番イヤ。

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