ジュネーブの思ひ出

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130318-KIA-03.jpgジュネーブショーへ行って参りました。そこで見た、メジャーじゃないけれど、ラ・フェラーリほど人を集めないけれど、見過ごせないクルマを紹介したいと思います。

今回注目したのはキア・ブース!
60~70年代、マツダのオート三輪やトラックなど、他社の製品をノックダウン生産していたキア。90年代後半にヒュンダイ自動車の傘下となりました。多くの日本人は、フォード・フェスティバの5ドア版「フェスティバ5」をつくったり、FFのロータス・エランをライセンス生産していたよな......程度しか知らないはずです。僕もそうです。

近頃のキアは欧米では、大げさな表現ではなく、日本車と同じくらいの頻度で見かけます。ヒュンダイとあわせれば、日本車よりもよく見かけるといってもよいかもしれません。いやちょっと大げさかもしれないが、そのくらいの勢いです。これがまた総じてカッコいいんですね。韓国メーカーは海外依存度が日本よりもさらに高く、欧米のデザイナーの比率も日本メーカーよりも高いので、デザインは日本車よりもバタ臭いのです。

そんなキアが出展していたのが「Provo」。発音は「プロヴォ」でいいんでしょうか。ハッチバックともSUVともつかない、今流行のクロスオーバー・モデルですが、悪くないデザインだと思いませんか?
 
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それもそのはず、というべきか、キアの現在の社長はドイツ人のペーター・シュライヤー。このサイトの読者には説明不要、アウディやフォルクスワーゲンのデザイナーとして活躍した人物です。アウディTTのデザイン上の生みの親のような人。2006年にヘッドハンティングによりフォルクスワーゲンからヒュンダイに移籍、傘下のキアの最高デザイン責任者を務めていましたが、昨年末にキア社長に就任しました。それを踏まえてもう一度Provoのデザインを眺めてみると、フォー・シルバーリングスがついていれば素直にアウディだと、VWマークがついていれば素直にフォルクスワーゲンだと思えるデザインです。Aピラーをブラックアウトしてルーフが浮いているように見せるのは最近はやりの手法で、ジュネーブ・ショーでいえば、アルファロメオ4Cなんかもそうでした。

全長3.88m、全幅1.77m、全高1.35m。1.6L直噴直4ターボエンジンのパワーで前輪を駆動し、高負荷の際に電気モーターが後輪を駆動し、加速をアシストするようです。キア初の7速デュアルクラッチ・トランスミッションを搭載。最新のトレンドを取り入れていますね。

外国のウェブサイトなどを拝見すると、ライバルとして掲げられていたのは、日産ジュークが最も多かったですかね。ジュークはよりSUVライクですが、FF用プラットフォームにユニークなボディを載せるという意味では共通しています。

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ところで、基幹となるプラットフォームからいくつものボディバリエーションを展開するのは、もうずいぶん前から自動車メーカーの常道です。確認はしていませんが、Provoが用いるプラットフォームも、他のクルマにも使われているのではないでしょうか。打ち出の小槌みたいでお気軽な気もします。けれど、コストを抑えて多様なニーズに応えるには最適な手法ですから批判するつもりはありません。どんどんやっちゃっていただきたいです。例えば、フォルクスワーゲンのMQB戦略を見ればわかるように、プラットフォームの共有化がクルマをダメにするかというとそんなことはなく、プラットフォーム自体に多様なニーズを受け入れる寛容性があれば、走りや乗り心地を自由に味付けできます。

話を戻しましょう。世界中にシェアをもつヒュンダイが何度か日本市場へ進出し、その度に売れなくて撤退したように、日本で韓国メーカーが成功した例はまだありません。しかし、一定の成功を収めるとすれば、ヒュンダイよりも、ヨーロピアンルックのキアのほうが可能性が高いのではないかと思います。

キアさん、やってみてはいかがですか!

(Text by Satoshi Shiomi)

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Author:塩見智

ライター/エディター。1972年岡山県生まれ。新聞記者、自動車雑誌編集者を経てフリーランスへ。クルマは速くなくてもいい、豪華じゃなくてもいい、(乗ってて)モテなくてもいい、ただし作り手自らが掲げた目的を、高いレベルで達成していてほしい。何がしたいのかわからないクルマが一番イヤ。

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