ブランドは生き続ける〜Wanderer(ヴァンダラー)の復活

| トラックバック(0)
110522-Wanderer-01.jpgアウディの起源のひとつ、Wanderer(ヴァンダラー)のブランドが、最近復活したという。販売されるのは自動車ではなく......
110522-Wanderer-02.jpg
1932年にアウディ、DKW、ホルヒ、そしてヴァンダラーが合併してできたアウトウニオン(Auto Union)が現在のアウディAGの基礎になっていて、そのアウトウニオンのシンボルが、アウディの「フォーリングス」のベースであることは、皆さんもご存じだろう。

このうち、4社目のヴァンダラーは1886年の創業。東部ドイツのケムニッツに本部を置くこの総合メーカーは、ミシンから自転車、バイク、自動車までを手がけていた。たとえば、1930年代には年間10万台の自転車を世に送り出している。

アウトウニオンの結成後、第二次世界大戦が勃発、世界は混沌とした時代に入るわけだが、この戦争がヴァンダラーに不幸な事態をもたらした。敗戦によりドイツは東西に分断され、共産主義の東ドイツに拠点があったヴァンダラーは実質国有化され、ブランドもなくなってしまったのだ。ドイツ人の記憶には、ヴァンダラーの自転車は高品質で丈夫というイメージだけが残された。

そんな不運のヴァンダラーを現代に蘇らせた企業がある。1998年、古き良き製品にこだわる通販会社として知られるドイツの「Manufactum」社が、このヴァンダラーの自転車を当時のデザインで復刻。昔を懐かしむ年配者のみならず、若者のあいだでも人気を集める結果に。そして2006年には、自転車メーカー「Zwei plus zwei」の投資のもと、東西ドイツ分断による休眠からついに目覚めたのだ。新生ヴァンダラーは西部ドイツのケルンに本拠を置き、当時のロゴと当時のデザインを流用し、高品質な自転車をつくるメーカーとして復活した。

そこで生まれる「100% Made in Germany」の自転車は、人間工学に基づいた設計と塗装の品質に定評がある。

デザインはドイツ的でシンプル。流行を意識しない、時代を超越したデザインが、良いモノを長く使うドイツ人の好みにぴったり。しかも丈夫ときているから、人気が集まるのも当然である。

110522-Wanderer-03.jpg
ドイツでの価格は、1000ユーロ(12万円)から3000ユーロ(36万円)程度。久しぶりに自動車以外で欲しいものが見つかった。日本にも導入されることを願っている。

長い休眠から蘇ったブランド、ヴァンダラー。良きブランドは生き続けるモノだ。当時の創設者であるRichard Adolf JaenickeとJohann Baptist Winklhoferも、きっと天国で喜んでいるに違いない。

関連記事:


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://1to8.net/mt/mt-tb.cgi/1700

Author:シュペネマン和人

京都出身。京都の大学を卒業したのち、ドイツのマインツにわたる。現在は貿易関係の会社を経営するかたわら、 通訳・コーディネーターとして忙しい日々を送っている。 国籍はドイツだが、日本人の母の影響で、日本語、関西弁(!?)、英語、ドイツ語を使いこなす。

2017年3月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31