【試乗記】Audi TT RS Coupe

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170727-TT RS-2.jpgAudi Sportが放つTTのハイパフォーマンスモデル「Audi TT RS Coupe」を試乗、その並外れた性能をチェックする。
Audi Sport GmbH(アウディ スポーツ社)が手がけるビジネスには、「Audi R8 LMS」や「Audi RS 3 LMS」といったカスタマーレーシングカーの制作や「Audi exclusive」と呼ばれる車両のカスタマイズプログラム、そして、「Audi R8」やRSモデルの企画・制作がある。いずれも前身であるquattro GmbH(クワトロ社)から受け継ぐもので、なかでもその中核となるのがR8/RSモデルだ。

現在、RSモデルには、「Audi RS 7 Sportback」「Audi RS 6 Avant」を頂点に、「Audi RS 5 Coupe」「Audi RS 3 Sedan/Sportback」、「Audi RS Q3」、そして、「Audi TT RS Coupe/Cabriolet」があり、Sモデルのさらに上を行くパフォーマンスによりファンの心を掴んでいるのはご存じのとおり。

そんなRSモデルのなかで、コンパクトスポーツとして生まれたAudi TTに、Audi Sport伝統の直列5気筒ターボを与えたAudi TT RSは、ひときわ強い存在感を示している。

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Audi TT RS Coupeには、そのエクステリアからしてただならぬオーラがある。シングルフレームグリルにはハニカムメッシュが施され、また、マットシルバーのフレームにはquattroの文字。リヤスポイラーは可動式から固定式のウイングタイプに改めら一気に迫力が増した。

オプションのマトリクスOLEDリヤコンビネーションライト(12万円)もAudi TT RS Coupeの個性を際だたせる。さらに標準から1インチアップの20インチ7スポークローターデザインアルミホイール(24万円)がスポーティな雰囲気に輪をかけている。

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もちろん、一番の見どころはボンネット下に潜む2.5 TFSIエンジン。横置きエンジンのRSモデルにのみ許される珠玉の2.5L直列5気筒ターボエンジンは、最高出力294kW(400ps)/5850〜7000rpm、最大トルク480Nm(48.9kgm)/1700〜5850rpmを誇り、これは旧型Audi TT RSに対して60ps、途中追加のAudi TT RS plusに対して40psのパワーアップが図られている。

組み合わされるトランスミッションは7速Sトロニックのみで、ハルデックスカップリングを用いるquattroにより、2.5 TFSIのトルクを余すところなく4輪に伝える。

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ドアを開けると、Audi SportのフラッグシップモデルであるAudi R8同様、2つのサテライトスイッチを備えるステアリングホイールがドライバーを迎え入れてくれる。右下の赤いボタンでエンジンをスタート/ストップ、左下はドライブセレクトのスイッチだ。

さっそく右手の親指で赤のボタンを押すと、ブオンといううなり声とともに2.5 TFSIエンジンが目覚めた。

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その動き出しはとても軽やか。これは「MQB」プラットフォームを採用する最新モデルに共通の感想だが、Audi TT RS Coupeでは、低回転から溢れんばかりのトルクを発揮する2.5 TFSIのおかげで、その印象がさらに強まっている。

ドライブセレクトでAUTOモード選び街中を60km/hで走る状況では、6速ギヤによりエンジン回転はわずか1300rpmほど。この領域では思いのほかジェントルな2.5 TFSIだが、アクセルペダルに載せた足に軽く力を加えるだけでスッと加速する感じは、まるで6気筒あるいは8気筒エンジンを操るような感覚。その一方で、多少ザラッとした感触がなんとも5気筒らしい。

Audi TT RS Coupeのサスペンションは、Audi TTS Coupeよりも明らかに硬めの味付けだが、伝わるショックは角が落とされており、1時間もしないうちに身体が慣れてくるから長時間の移動も苦にならない。さらに、ドライブセレクトでCOMFORTを選べば、可変ダンピングシステムのマグネティックライドがさらにショックを和らいでくれる。

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高速道路に入ったところでアクセルペダルを深く踏み込むと、Audi TT RS Coupeはその本性を現した。太いエキゾーストノートと不協和音と例えられる独特のエンジンサウンドを放ちながら、一気にスピードを上げていくのだ。カタログ上は1700rpmから5850rpmまで、480Nmの最大トルクを発揮する2.5 TFSIだが、感覚的には3000rpmを超えたあたりからレブリミットの6800rpmまで勢いが続く。その強大なトルクをquattroがしっかりと受け止めるためか不思議と加速感がないが、すぐに制限速度に到達するから、スピードメーターから目を離すのは禁物だ。

100km/h巡航時のエンジン回転は7速で1750rpm。このあたりを保ち、のんびり巡航を楽しむと15km/Lオーバーの燃費を示すTFSIエンジンの高性能・高効率には驚かされる。

ワインディングロードに辿り着き、ドライブセレクトでDYNAMICを選ぶと、シフトモードがSに変わり、2.5 TFSIはさらに勢いを増す。そして、コーナーをひとつクリアしたところで、Audi TT RS Coupeの進化を実感した。先代ではノーズヘビーに思えたコーナーでの動きが、この新型では見事に解消されていたからだ。

鋭い切れ味とはいかないまでも、素直なハンドリング特性を示すAudi TT RS Coupeは、quattroによる絶大なトラクション性能を味方にコーナーからの素早い立ち上がりが可能で、5気筒エンジンの息づかいを感じながらコーナーを抜けるのが楽しくてならない。一方、姿勢は常に安定しており、冷や汗をかかずに済むのがうれしいところだ。

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ということで、ふだんの足としては快適性を増し、一方、スポーツドライビングではさらに走る楽しさを向上させた新型Audi TT RS Coupe。962万円というプライスタグには一瞬たじろぐが、このクルマでしか得られない体験があることを考えれば、案外リーズナブルな価格かもしれない。

(Text & Photos by Satoshi Ubukata)

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