【海外試乗記】Audi Q5

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170316-Q5-01.jpgモータージャーナリストの河村康彦さんが新型Audi Q5を試乗。河村さんが訪れたのは......メキシコ!
昨年秋に開催されたパリのモーターショー。そこで披露をされた新しいAudi Q5を、遥かメキシコの地でテストドライブした。

「なぜにまたメキシコで!?」と、さっそくそんな疑問の声が聞こえて来そうであるもの。けれども新生Audi Q5は、実は昨今何かと話題のこの国と、切っても切れない縁の持ち主なのだ。

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かつて、本国ドイツはインゴルシュタットの工場で生産されて来たのが、初代=従来型のAudi Q5。それに対して、初めてのフルモデルチェンジを受けて一新された今度のAudi Q5は、その全数が昨年メキシコの地にオープンした、新たに建設された工場で生産されるのだ。

アメリカ新大統領の誕生に伴う例の騒動は、「プレミアムブランドとしては初の進出」と謳いつつメキシコに工場を立ち上げたばかりのAudiにとっては、いささか「出鼻をくじかれてしまった......」という思いがないではないはず。

が、いずれにしてもすでに新型Audi Q5の生産は彼の地で立ち上げられ、かつてAudi Q5の生産が行われていたドイツのラインでは、変わってブランニューモデルであるAudi Q2の組み立てが行われ......と、すでに賽は投げられているのである。

新型Audi Q5に採用されたのは"MLB evo"と呼ばれる、ひと足早くモデルチェンジを行った現行Audi A4が用いるものと同様の、パワーパック縦置きモデル用の最新骨格。

基本的なスタイリングのイメージが踏襲されているのは、従来型Audi Q5に対する開発陣の自信の表れでもあるはずだ。同時に、そのボディサイズが大きく変えられなかったのは、先に新型へと移行を終えている兄貴分のAudi Q7が、モデルチェンジでわずかながらも"小さくなった"ことの影響も受けているのかもしれない。

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エクステリア・デザインは、前述のように従来型の雰囲気を強く受け継いでいる一方で、新旧両車を並べれば「どちらが新しいかは一目瞭然」というのは、ちょうどAudi A4のモデルチェンジの場合と同様の印象。

ボディサイドの抑揚は新型の方がずっと強く、フェンダーの張り出し感がより強いのも新型の特徴。プレスラインのメリハリが増してドアハンドル上部を通るキャラクターラインのシャープさがグッと増しているのも、新型の見どころのひとつだ。ヘッドライトの眼光が鋭くなったのも、やはり"新しさ"を表現する重要なポイントになっている。

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しかし、こうしてエクステリアも確かに各部が刷新されていることを確認できる一方で、そんな今度のモデルでより明確に新型であることを実感させられるのは、そのインテリアであるようにも思う。

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水平基調が強調された上で、その中央部にタブレット端末を立てかけたようなダッシュボードのデザインは、昨今のアウディ車に共通をするひとつ流儀ともいえるもの。新型Audi TTが先鞭をつけたフルバーチャル式のメーターの設定や、マルチメディアシステムとスマートフォンとのリンクが可能になったのも、もちろん新型ならではのニュースとなる。

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そんなこのモデルでうれしかったのは、このところ流行のようになってしまっている"スマホライク"なタッチ画面式の操作が無暗に採用されず、必要な部分には物理スイッチがしっかり残されて、多くの部分でブラインド操作が可能とされていること。

とくに、ATセレクターの上部がパームレスト代わりになり、そこを手のひらの支点として操作が出来るMMI(マルチメディアインターフェイス)の使い勝手は、この種のアイテムの中では最上級といえるものだった。

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加えれば、センターコンソール上のダイヤルとスイッチによって行うそこでの操作の大半は、ステアリングホイール上のスイッチでも同様の操作を行うことができる。このあたりは、まさに「走りながらデザインした操作系」を感じさせるところなのである。

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いずれさまざまなバリエーションの登場が予想をされるものの、今回現地に用意されていたテスト車は、いずれもAudiお得意の4WDシステム「quattro」を搭載した2種類のモデル。

ひとつは、今回発表された中では唯一のガソリンエンジンを搭載する『2.0 TFSI quattro』で、もうひとつはシリーズの頂点に位置するフラッグシップとして設定をされた『3.0 TDI quattro』。

前者が7速Sトロニックとの組み合わせで搭載するのは、最高252psを発するターボ付きの2L 4気筒直噴エンジン。後者が8速ティプトロニックとの組み合わせで搭載するのは、最高286psを発するターボ付きの3L V6直噴ディーゼルエンジン。

ちなみに、2.0 TFSIのクワトロシステムは、後輪駆動力が必要ない場面では、新たに機構内に加えられた電子制御クラッチによって後輪駆動系を完全に切り離し、ロスを低減させることができるAudi A4 allroad quattroでデビューをした最新のアイテム。

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一方で、後輪の駆動力が有効となる場面では、各部のセンサーから得られた信号でフィードフォワード制御を行い、「必要となるタイミング以前に駆動力を発生させるので、かつてのフルタイム式に対するマイナス面はない」というのが、開発担当エンジニア氏によるコメントだ。

まずは、日本にもいち早く導入される可能性の高いガソリンモデルでスタートをすると、予想と期待以上に軽快な加速感と静粛性の高さが好印象。「同じようなテイストを最近味わった気がするな......」と記憶を辿ってみると、それはやはり新型Audi A4の印象にたどり着くこととなった。

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新型Audi Q5でのひとつの売り物は、このクラスではまだ稀なエアサスペンションが設定されること。テスト車にも装着されていたが、それが生み出すヒタヒタと路面を捉えるフットワークのテイストを含め、その乗り味はやはり電子制御式の可変減衰力ダンパーを備えていた新型Audi S4のそれに「限りなく近い」と表現をしても過言ではないくらい。

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こうして、2.0 TFSI quattroも大いに軽快な走りを味わわせてくれたが、そこにさらなる迫力とともに、フラッグシップに相応しい上質さをも上乗せすることになっていたのが3.0 TDI quattroだった。

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こちらに乗り換えてまず感心したのは、より滑らかで洗練されたエンジンのテイスト。ディーゼルでありつつも「さすがは6気筒」と納得させられる回転フィールを味わわせてくれるのだ。

そして、アクセルの踏み加えに対してエンジン回転数の高まりに頼ることなく瞬く間にトルクの厚みを増して行く印象もこちらのモデルならでは。そこでは、1500rpmにして620Nmと、ガソリンユニットを圧倒する最新のディーゼルエンジンならではの逞しさが存分に演じられているわけだ。

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この強力無比なディーゼルエンジンとエアサスペンションの組み合わせは、まさに"鬼に金棒"というイメージ。そんなこのモデルのテイストを知ったからには、ぜひともこちらの日本導入も実現させて貰いたくなってしまった新型Audi Q5でもあった。

(Text by Yasuhiko Kawamura)

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