【試乗記】Audi S4

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161219-S4-13.jpg"B9"型「Audi A4」のトップグレードとなる「Audi S4」が日本上陸。その走りをチェックする。
2016年、日本におけるAudiのハイライトが新型「Audi A4」シリーズの導入であることは間違いない。2月にSedanが上陸したのを皮切りに、Avant、allroad quattroを次々と追加。また、エンジンもAudi A4史上最小の1.4 TFSIがラインアップに加わった。そして、シリーズの最上級グレードとして欠かせないSモデル、「Audi S4/S4 Avant」が登場し、新型Audi A4シリーズのバリエーションはひとまず完成。12月にはAudiとしては初となる「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、Audi A4シリーズは話題に事欠かなかった。

そんなAudi A4シリーズのなかで、私を含め、クルマ好きが待ち焦がれていたのがAudi S4だろう。その概要はこちらのニュースをご覧いただきたいが、ベースモデルとなる"B9"型Audi A4が「MLB evo」と呼ばれる新アーキテクチャーを採用してフルモデルチェンジしたうえに、搭載されるエンジンも新開発の3.0 TFSIとくれば、その走りがどう変わったのか、興味を抱かずにはいられないはずだ。

今回借り出した試乗車は、ミサノレッドが鮮やかなセダン。よほどAudiに詳しい人なら、ダブルのクロームバーに彩られたシングルフレームグリルやシルバーのミラーカバーなどにより、すぐにSモデルとわかるだろうが、おそらく多くの人には、このクルマがAudi A4シリーズのハイパフォーマンスモデルということに気づかないだろう。そういう私も、SモデルなのかS lineなのか、瞬時に見分ける自信はない。

その控えめな佇まいは、Sモデルの伝統のひとつなのだが。

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外見よりも、むしろ室内のほうがSモデルらしさを感じるかもしれない。

ブラックのルーフライニングによりキリッと引き締まった雰囲気のキャビンは、カーボンのデコラティブパネルと相まってスポーティな印象を強めているからだ。

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それでいて、スパルタン過ぎず、シリーズ最上級モデルにふさわしい上質な仕上がりを見せるのもSモデルの特徴だ。私は常々、Sモデルの"S"は「Sport」とともに「Sophisticated(洗練された)」のSだと思っているが、このAudi S4もその例外ではない。

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試乗車にはオプションのバーチャルコックピットが装着されているが、メーター中央に大きな回転計がレイアウトされ、その内部に速度が表示されるのも、標準グレードとは異なる演出だ。さらに、ブーストメーターも追加されたヴァーチャルコックピットが、走りの期待を高めてくれる。

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ところで、新型Audi S4の見どころといえるのが、新開発の3.0 TFSIエンジンだ。先代のエンジンも3.0 TFSIだったが、あちらは3L V6の直噴エンジンをスーパーチャージャーで過給していたのに対し、新しい3.0 TFSIはシングルターボを採用する。

さらに、最新の3.0 TFSIでは、低負荷、すなわち、アクセルペダルを軽く踏んでいるときなどには、吸気バルブを早めに閉じる「ミラーサイクル」とすることで高効率化を図っている。Audiでは「Bサイクル」と呼ぶこのテクノロジーは、すでにAudi A4 2.0 TFSIに搭載される190ps仕様の2Lエンジンにも採用されているのだが、おかげで、従来に比べて21ps、60Nmアップの354ps、500Nmのスペックを誇りながら、12.7km/Lの燃費(従来型は12.6km/L)を達成したのが見逃せないところだ。

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さっそくエンジンを始動すると、控えめだがボーっというエキゾーストノートが、ハイパフォーマンスモデルであることを軽くアピールしている。おかげで、少し身構えて走り出した私なのだが、その乗り心地に驚き! スポーツモデルだけに無駄な動きを排除しながらも、サスペンションの動きはしなやかで、実に気持ちの良い動きを見せたからだ。

このAudi S4には、電子制御の可変ダンパーが標準装着されているのがそのチューニングが絶妙で、標準モデルの「sport」や「S line」よりもむしろこのAudi S4のほうが快適に思えるほどなのだ。試乗車には標準の18インチタイヤが装着されているが、19インチにアップしたところで、その印象は変わらないに違いない。

アクセルペダルを軽く踏んだ状態でも、Audi S4の3.0 TFSIはとても力強く、1.7トンあるボディを軽々と前に進めてくれる。街中では1000rpmくらいをキープすることもある3.0 TFSIだが、8速ティプトロニックと組み合わされて、実にスムーズな動きを見せてくれるのだ。

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そんな3.0 TFSIも、1500rpmくらいからはハイパフォーマンスエンジンの片鱗をうかがわせ、スポーティなエキゾーストノートをともないながら、さらに力強さを増していく。

そして、アクセルペダルを深く踏み込むと、6500pmのレブリミットまで全域で溢れるトルクを披露。その加速は凄まじいはずだが、quattroがそのトルクを余すところなく路面に伝えるおかげで、荒々しさとは無縁。気がつくと制限速度に達しているという印象である。

感心したのはその燃費で、アクセルペダルを積極的に踏んでいけばそれなりにガソリンを使うが、高速道路を大人しく......といっても流れに乗る走りを続けた場合に14km/L台の燃費をマーク。まさに、高性能と高効率を両立するパワートレインといえるだろう。

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ワインディングロードを走るチャンスもあったが、機械式センターデフを持ち、通常走行時には前40:後60の割合でトルクを配分するこのquattroは、コーナーでは路面に吸い付くような高い接地性を示し、無茶をしないかぎり公道では狙いどおりのラインをトレースできる。オプションのリヤスポーツディファレンシャルも、絶大なリヤのトラクションに貢献し、コーナーを駆け抜けるのが楽しくてしかたがない。

スピードが上がると、ややノーズの重さが気になってくることもあるが、日常のシーンで困るものではない。

ということで、日常使いからワインディングロードまで、余裕あるパワーと上質かつスポーティな走りにより楽しむことができるAudi S4。その高次元にバランスされた性能こそが、Sモデルの真骨頂だ。あまりにバランスが良すぎて物足りないと感じる人には、今後登場するであろうRSモデルをどうぞ......というのがAudiの思惑なのだろう。

さりげなくエキサイティングなカーライフを楽しみたい人には打ってつけの一台である。

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(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Hiroyuki Ohshima, Hisashi Uemura)

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